日本臨床外科学会雑誌
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症例
高CEA血症を呈し切除後に正常化した虫垂粘液嚢胞腺腫の2例
湯川 寛夫利野 靖佐伯 博行荒井 宏雅大城 久益田 宗孝
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2007 年 68 巻 11 号 p. 2804-2810

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抄録

虫垂粘液嚢胞腺腫は稀な疾患である. 今回, われわれは高CEA血症を呈し術後正常化した虫垂粘液嚢胞腺腫の2例を経験したので報告する.
症例1 : 58歳, 女性. 2005年3月近医にて右卵巣腫大を指摘され, 婦人科を受診しCTにて右卵巣腫瘍が疑われ12月当院婦人科を受診し入院. CEA=9.3と高値を示し, CT, MRI, USで右下腹部に嚢胞状腫瘤を認めた. 2006年2月当科で回盲部切除術施行. 術後CEA=1.8と正常化した.
症例2 : 50歳, 女性. 2005年4月悪性リンパ腫の経過観察中のCTで回盲部に腫瘤を指摘された. 11月のCTで増大が認められ2006年3月入院となった. CEA=5.9と高値を示した. CT, USで右下腹部に嚢胞状腫瘤を認めた. 2006年3月盲腸部分切除術施行. 術後CEA=1.6と正常化した.
いずれも病理検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され, 免疫染色ではCEA陽性であった.
88年以降本邦で原著として報告されCEA高値を示す虫垂粘液嚢胞腺腫は自験例を含め40例であった.

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© 2007 日本臨床外科学会
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