2007 年 68 巻 12 号 p. 3049-3054
症例は62歳, 男性. 肺小細胞癌に対して化学療法および放射線療法を施行され, 当院内科で経過観察中であった. 発熱が続いたため, 内科を受診し, 肺炎と診断され, 抗生剤による入院加療を受けていた. 入院翌日より右下腹部痛が出現し腹部CTを施行したところ, 急性虫垂炎と診断し, 同日手術を施行した. 病理結果で虫垂中枢側に小細胞癌を認め, これにより内腔は閉塞していた. また末梢側は壊死・穿孔しており, 肺癌の転移による虫垂炎と診断した. 悪性腫瘍の虫垂転移は手術時に膿瘍形成や穿孔をしていることが多く, 炎症の進展が急速であるため, 迅速に手術の時期を決定することが必要であると考える.