2007 年 68 巻 7 号 p. 1786-1790
患者は72歳, 男性. 白血球の異常高値から慢性骨髄性白血病 (CML) と診断され, 当院血液内科に紹介された. まずインターフェロンαなどでCMLの治療を開始したが, 肝障害および黄疸が出現し, 薬剤性肝障害を疑った. しかし, 腹部CTにて総胆管の拡張と下部胆管の腫瘍性狭窄を認め, ERCPによる胆汁細胞診で腺癌と診断された. 一般的に下部胆管癌の方がCMLよりも予後が悪く, CMLの病状も安定していたため, 膵頭十二指腸切除術 (PD-II) を施行した. 手術後の経過は, 白血球増加が長く続いた他には, 通常と変わらず良好であった. しかしながら, 術後3カ月で急速に増大する肝転移が出現し, 術後6カ月で死亡した. なお, CMLに合併した胆管癌の手術例は, 検索した限り自験例の他には認めなかった.