日本臨床外科学会雑誌
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症例
壊死性筋膜炎後広範囲開放創にvacuum-assisted closureを施行した1例
江口 大彦島袋 林春森山 初男石川 浩一岸原 文明松股 孝
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2007 年 68 巻 7 号 p. 1853-1857

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抄録

症例は66歳, 糖尿病と慢性関節リウマチで内服治療中の男性. バイクで転倒し左膝に小挫創を受傷した. 4日後から創痛が強くなり翌日近医を受診し左膝蜂窩織炎の診断で入院となった. 抗生剤投与と局所の小切開が行われたが炎症所見は改善せず, 当院へ紹介転院. 左膝の小切開創周囲から大腿外側に発赤・熱感・硬結があり著明な圧痛を認めた. 前医での創培養でA群β型溶連菌が検出され, 壊死性筋膜炎の診断で外科的デブリドマンを行った. 局所の感染兆候が落ち着いた切開後11日目よりvacuum-assisted closure (VAC) を開始した. 欠損部の肉芽は良好に成長したため15日後にVACを解除し, その後は洗浄・ドレッシングを継続した. VAC適用後2カ月で創は完全閉鎖した. 壊死性筋膜炎治療後の広範開放創に対してVACを行い良好な結果を得たのでここに報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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