症例は72歳, 男性. 65歳頃より検診で肝機能異常を指摘され, スクリーニングの腹部超音波検査にて肝に腫瘤性病変を認めたことより肝生検術を施行した. 生検結果で肝細胞癌と診断されたことから肝亜区域切除術を施行した. 切除標本からも高分化型の肝細胞癌と診断されたが, 背景肝は肝細胞の腫大や脂肪沈着, 周囲への線維化などを認めたことから, 非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis ; NASH) と診断した. 近年飽食の時代をむかえた本邦でもNASHは増加傾向にあると考えられている. 報告例はまだ少ないもののNASHからの肝細胞癌発癌のリスクは高く, NASHにおいては肝細胞癌発癌を念頭においた診療が必要となってくる.