日本臨床外科学会雑誌
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症例
右胃大網動脈を使用した冠動脈バイパス術後に肝外側区域切除術を施行したS状結腸癌肝転移の1例
青葉 太郎長谷川 洋坂本 英至小松 俊一郎久留宮 康浩法水 信治
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2008 年 69 巻 1 号 p. 140-144

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抄録

右胃大網動脈(RGEA)を使用した冠動脈バイパス手術(CABG)後に発生した転移性肝腫瘍に対し肝外側区域切除術を施行した症例を経験した.症例は77歳,男性.6年前に心筋梗塞に対して当院で右胃大網動脈を用いたCABGを施行した.4年前にS状結腸癌に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行している.外来通院中にCTにて肝外側区域に転移性肝腫瘍を認めたため肝外側区域切除を施行した.RGEAグラフトは肝表面に癒着していたが注意深く剥離を行い温存した.術中,術後に合併症は認めなかった.当院では本例を含めRGEA使用CABG後の上腹部手術を7例経験しているが,全例RGEAグラフトを温存しえた.RGEAグラフト使用CABG後の上腹部手術症例においてはグラフトの温存の可否や術式に関して術前の詳細な検討が必要である.

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© 2008 日本臨床外科学会
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