日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝血管筋脂肪腫を伴った結節性硬化症に併存した胃癌の1例
安井 直子岩崎 善毅大橋 学布部 創也岩永 知大岩上 志朗
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2008 年 69 巻 1 号 p. 58-62

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抄録

症例は35歳,女性.検診で施行された上部消化管内視鏡検査で胃体部大彎の進行胃癌を指摘され紹介入院となった.術前精査中に顔面皮脂腺腫と上衣下結節を認めたことから結節性硬化症が疑われた.腎臓の血管筋脂肪腫(以下AML)や肺リンパ脈管筋腫症などの結節性硬化症に特徴的な所見も認められた.また,腹部超音波検査で肝腫瘍を認め,CTおよびMRIにて脂肪成分や血管成分の含有が示唆され,胃癌の肝転移を完全には否定し得なかったが,肝AMLの合併が最も疑われた.胃癌に対し幽門側胃切除術,確定診断のために肝部分切除を施行した.病理組織学的検索では深達度MP,ステージIIIAのIIc類似進行癌,肝腫瘍は肝AMLと診断された.結節性硬化症に併存した消化器癌症例において肝腫瘍を認めた場合,鑑別診断として肝転移の他,肝AMLを念頭に置く必要があると考えられた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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