日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸横行結腸瘻を形成した原発性十二指腸癌の1切除例
田口 宏一今井 敦松久 忠史湊 正意岩木 宏之
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2892-2896

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抄録

症例は71歳,女性.上腹部痛と食欲不振を主訴に受診.血液検査では貧血と低栄養,電解質異常を認めた.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚Vater乳頭対側に2型の腫瘍を認め,生検で高分化型腺癌と診断.上部消化管造影検査では十二指腸下行脚から瘻孔を通じて上行結腸が造影された.血管造影では膵十二指腸アーケードの腫瘍濃染像と血管の狭窄を認めた.十二指腸横行結腸瘻を形成した原発性十二指腸癌の診断にて開腹.十二指腸下行脚の腫瘍が横行結腸に浸潤して一塊となっていた.肝転移,腹膜播種はみられず,膵頭十二指腸切除術と結腸右半切除術を施行した.術後は合併症なく経過し,6年経った現在再発の徴候なく,元気で生存中である.消化管癌で十二指腸結腸瘻を合併した場合,膵頭十二指腸切除術と結腸合併切除術は,全身状態が許せば,有効な治療法と考えられる.

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© 2008 日本臨床外科学会
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