日本臨床外科学会雑誌
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症例
虫垂粘液嚢腫による腸重積の1例
檜垣 栄治久世 真悟京兼 隆典柴原 弘明高見 澤潤一河崎 秀陽
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キーワード: 腸重積, 虫垂粘液嚢腫
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2912-2916

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抄録

症例は71歳,男性.左上腹部痛で近医を受診,精査目的で当院へ紹介となった.左上腹部に手拳大の腫瘤を触知し,腹部造影CTで左上腹部に層状の脂肪濃度と嚢胞状部分を含む不均一な濃度の腫瘤を認め,注腸造影検査で横行結腸に蟹爪様の閉塞所見を認めた.結腸腫瘤による腸重積と診断し,重積の整復を試みたが不可能であったため緊急手術を行った.開腹し重積を整復すると,3.5cm大の腫瘤を虫垂根部に触知した.虫垂原発の腫瘍を疑い右結腸切除,D3リンパ節郭清を施行した.切除標本において虫垂内腔は粘液で満たされており,病理組織学的診断は虫垂粘液嚢胞腺腫であった.虫垂粘液嚢腫による腸重積は稀であり,整復できなければ術前診断は困難なことが多い.嚢胞性腫瘤を先進部とする大腸型腸重積では,本疾患を念頭に置くべきであると考えられた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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