日本臨床外科学会雑誌
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症例
稀な形態を呈し内視鏡的切除により診断が得られた大腸脂肪腫の1例
島崎 二郎渡辺 善徳春日 照彦佐谷 徹郎中田 一郎田渕 崇文
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2927-2930

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抄録

稀な形態を呈し内視鏡的切除により診断が得られた大腸脂肪腫の1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
57歳,男性.健診にて便潜血反応陽性を指摘され受診.注腸検査では,S状結腸に径約3cm大のポリープ陰影を認め,大腸内視鏡検査では,同部位に表面が分葉状の有茎性ポリープを認めた.生検組織診断では,粘膜上皮の過形成性変化と一部に異型上皮を認めたため,同ポリープに対して内視鏡的ポリープ切除術を施行した.切除されたポリープは,大きさ3.5×3.0×2.0cmで茎部の直径は1.5cm,切除断端面に脂肪組織の露出を認めた.病理組織所見は,粘膜下層に成熟した脂肪細胞の増生像を認め良性の脂肪腫の診断となった.なお,粘膜の陰窩上皮には過形成性変化を認めるも,腫瘍性変化は認めなかった.脂肪腫に関しては切除断端陽性であるが,切除された範囲では悪性所見は認められず経過観察となった.

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© 2008 日本臨床外科学会
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