日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝動注化学療法が奏効し治癒切除した高度進行肝内胆管細胞癌の1例
水井 慎一郎長田 真二菅野 昭宏福井 貴巳桑原 生秀猿渡 寛子横井 豊治
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2970-2974

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抄録

症例は70歳,男性.食欲低下を主訴に2006年12月に犬山中央病院内科を受診.血液検査上は軽度の肝機能障害を認めたのみで腫瘍マーカーは正常,HCV抗体・HBs抗原は陰性.腹部CT検査にて最大径16cm大で肝右葉の大部分を占める内部造影効果が不均一な腫瘍が下大静脈への直接浸潤しており進行肝内胆管癌と診断した.局所進展は高度であるが遠隔転移がないため肝動注化学療法(Leucovorin;30mg+cisplatin;10mg+5-fluorouracil;250mgの5日間持続投与を4周連続し4週休薬)を計7コース外来にて施行した.腫瘍径が6cm(partial response)に縮小したことを確認し外科的切除を計画した.腫瘍周囲の境界が不明瞭のため,肝拡大右葉切除を選択し,病理学的にも治癒切除とした.肝内胆管癌の手術を中心とした化学療法につき文献的考察を加え報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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