2008 年 69 巻 12 号 p. 3101-3106
segmental arterial mediolysis(SAM)の56集計例のうち多発動脈瘤を伴う20例(35.7%)の治療,予後について検討した.症例は平均年齢57.8歳,男14例,女6例で,18例は腹腔内出血,1例は腹膜炎で発症,1例は無症状であった.主病変(破裂瘤)は中結腸動脈9,胃大網動脈3が多く,副病変(非破裂瘤)は17動脈系と多岐に亘り,両者あわせて20個が最多であった.16例は緊急開腹術を受け,併存疾患による死亡1例を除き全例生存した.副病変は4例で処置され,11例では放置されたが予後は全て良好であった.手術されなかった3例は死亡し,無症状の1例は他因死した.本症の治療は血管造影を施行した際に経カテーテル的に処置するのが望ましく,それが困難なときは緊急開腹術を行うべきで,その成績は良好であった.