日本臨床外科学会雑誌
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症例
高齢者に発症した胸壁デスモイド腫瘍の1例
別府 樹一郎上田 祐滋林 透豊田 清一
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2008 年 69 巻 12 号 p. 3123-3127

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抄録

胸腔内発育を呈した,高齢発症の稀な胸壁デスモイド腫瘍を経験したので報告する.症例は80歳,女性.平成17年12月に背部を打撲し近医を受診した.胸部CTで打撲部から離れた右胸腔内に腫瘤を指摘されたが経過観察されていた.平成19年5月の胸部CTにて腫瘤の増大を認め,平成19年7月精査・加療目的にて当科紹介となった.胸部CTにて胸壁に接した境界明瞭な胸腔内腫瘤を認め,内部に軽度の造影効果を伴い,腫瘤と接する右第7肋骨には骨皮質の不整像を認めた.MRIではT1強調像で骨格筋とほぼ等信号,T2強調像で高信号を示し,造影MRIでは造影効果を認めた.FDG-PETでは淡い集積を認めた(SUVmax=3.5).
以上の所見から悪性腫瘍が疑われたため,平成19年7月,胸壁合併胸壁腫瘍切除術を施行した.病理検査にてデスモイド腫瘍と診断された.デスモイド腫瘍は局所浸潤性が強く術後局所再発率が高いため,今後厳重な経過観察が必要である.

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