日本臨床外科学会雑誌
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症例
横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例
工藤 大輔鈴木 伸作神 寛之笠島 浩行原 豊遠山 茂
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2008 年 69 巻 12 号 p. 3281-3284

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抄録

症例は57歳,女性.虫垂切除術と子宮筋腫による子宮全摘術の既往がある.術後腸閉塞の既往はなかった.来院2週間前より上腹部痛と嘔吐が出現し,消化器内科入院の上,精査を施行したところ,小腸造影で右上腹部に空腸の屈曲と狭細化を認め,保存的治療では治癒困難と考え,手術を施行した.当初,腹腔鏡下に手術を開始したが,下腹部への大網癒着が激しく,小腸を十分に検索出来なかったため開腹術へ移行した.Treitz靱帯より約70cmの空腸が,中結腸動静脈の右側の横行結腸間膜内に存在する3cm大の異常裂孔へRichter型に嵌入していた.ヘルニア解除,横行結腸間膜裂孔閉鎖,空腸部分切除術を行った.術後経過は順調であった.横行結腸間膜裂孔ヘルニアは非常に稀であるので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2008 日本臨床外科学会
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