日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性虫垂重積症の1例
横田 満朴 泰範吉田 泰夫伊藤 雅小笠原 敬三
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キーワード: 虫垂重積症, 腸重積
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2009 年 70 巻 1 号 p. 124-129

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抄録

症例は51歳,男性.夜間に腹痛を自覚し翌朝受診した.受診時,腹部症状は軽快し,血液検査所見でも軽度の炎症反応を認めるのみであった.腹部CTを撮影すると上行結腸内に腫瘤を先進とした腸重積所見を認めた.まず精査と整復目的に大腸内視鏡を施行した.上行結腸内にうっ血した隆起性病変を認め,送気しながら口側に移動させたが完全な整復はできず緊急手術を行った.開腹すると回盲部が上行結腸内に陥入する所見を認め,用手的に整復した.重積を解除すると虫垂根部に腫瘤性病変を認め,悪性病変の可能性を考慮し回盲部切除術(D3郭清)を施行した.病理組織検査では,悪性所見は認められず,腫瘤性病変と考えていた部位は虫垂内腔の反転によるものであり虫垂重積症と診断した.虫垂重積症は比較的稀な疾患で本症例のように特発性のものもある.今回,特発性虫垂重積の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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