2009 年 70 巻 1 号 p. 179-183
黄色肉芽腫性胆嚢炎(Xanthogranulomatous cholecystits,以下XC)は比較的稀な胆嚢炎の一亜型であり,胆嚢壁に肉芽腫を形成し他臓器への浸潤傾向を示すため,胆嚢癌との鑑別が困難で,しばしば拡大手術を施行されることも多い.今回,周囲臓器に浸潤を伴う胆嚢癌と診断し拡大手術を施行したXCを経験したので報告する.症例は80歳,男性.心窩部痛,体重減少を主訴に入院した.精査にて肝浸潤,胆管浸潤,横行結腸浸潤を認め,さらにCA19-9が上昇しており,胆嚢癌を疑い,尾状葉合併拡大肝左葉切除,胆管切除,胆嚢摘出,横行結腸部分切除,2群リンパ節郭清を行った.最終病理診断ではXCであった.術前術中の鑑別は困難であるが,鑑別の一つとして念頭にいれる必要が有る.