日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹膜原発漿液性乳頭腺癌の1例
平下 禎二郎野口 剛田中 栄一安田 一弘白石 憲男北野 正剛
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2009 年 70 巻 1 号 p. 228-232

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抄録

症例は63歳,女性.2005年2月から腹部膨満感があり,4月当科を受診した.腹部CT検査で腹水と大網周囲の腫瘍を認め,腹水細胞診にてadenocarcinomaの診断であった.消化管および卵巣や子宮に異常を認めず,腫瘍マーカーはCA125が高値であった.2005年4月手術を施行し,卵巣に異常は認めず,腫瘍を含めて大網を切除した.病理組織学的検査で漿液性乳頭腺癌を認め,腹膜原発漿液性乳頭腺癌と診断した.術後から化学療法としてpaclitaxel+carboplatin(TJ療法)を施行した.2006年3月腹腔内の腫瘍の増大を認め,脾臓摘出および胃部分切除を伴う腫瘍摘出術を施行した.その後も化学療法としてTJ療法を継続して行った.その後次第に腫瘍は増大し,2008年2月腸閉塞,小腸穿孔を認め,発症から3年1カ月で死亡した.

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© 2009 日本臨床外科学会
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