2009 年 70 巻 1 号 p. 39-43
症例は52歳,女性.26,38歳時に右良性葉状腫瘍の診断で腫瘍摘出術を施行された.平成7年頃より右乳房の腫瘤に気付いていたが,平成19年1月より急激に増大したため当院を受診した.右乳房に20cm大の腫瘤を認め,葉状腫瘍の再発と診断し右乳房部分切除術を施行した.病理診断は境界病変であった.術後3週間頃より創部周囲の発赤,腫脹を認め術後早期の再発と診断し,右胸筋温存乳房切除術,右腋窩リンパ節郭清,右前胸部植皮術を施行した.術後病理組織診断は悪性葉状腫瘍であり,右腋窩リンパ節への転移も認められた.退院時の胸部CTで多発肺転移と右腋窩リンパ節腫大が認められたため,化学療法を強く患者に勧めたが拒否し,外来で経過観察となった.退院後2週間で植皮部に局所再発を認め,さらなる増大傾向を伴うようになり徐々に全身状態悪化が悪化し,同年7月に死亡した.