日本臨床外科学会雑誌
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症例
巨大嚢胞を形成した被膜内浸潤を伴う嚢胞内乳癌の1例
椎名 伸充荒井 学三階 貴史榊原 雅裕長嶋 健宮崎 勝
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2009 年 70 巻 1 号 p. 44-49

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抄録

症例は60代女性.左乳房腫瘤の急速な増大を自覚し来院した.左乳房CE領域に直上の皮膚が菲薄化し赤紫色を呈する約10cmの腫瘤を認めた.MMGでは左乳房の大部分を占める,高濃度,境界明瞭な腫瘤像を認めた.USでは境界明瞭平滑な球形のcystic lesionを認め,内部に乳頭状に隆起する2つのisoechoic lesionを認めた.造影CT,造影MRIでは,周囲との境界が明瞭な約10cmの嚢胞と内腔に突出する結節像を認めたが悪性を疑わせる造影効果を認めなかった.穿刺吸引細胞診を2回行ったが明らかな悪性所見を認めず,嚢胞内乳頭腫の疑いにて腫瘤摘出術を施行した.病理診断は被膜組織内への浸潤を伴うIntracystic solid-papillary carcinomaであった.放射線治療を追加し,内分泌療法にて経過観察中である.嚢胞内乳頭腫との鑑別が困難であった巨大嚢胞内乳癌を経験したので,文献的考察を加えて報告した.

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© 2009 日本臨床外科学会
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