日本臨床外科学会雑誌
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原著
胃癌穿孔に対する治療戦略
渡邉 健次加藤 岳人鈴木 正臣柴田 佳久吉原 基長澤 圭一小西 由樹子久野 博文田口 泰郎尾上 俊介安藤 晴光
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2009 年 70 巻 1 号 p. 6-11

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抄録

当院で手術した胃癌穿孔症例の臨床病理学所見から,胃癌穿孔例の外科治療の問題点について検討した.1988年1月から2005年3月までに当院で手術した胃癌2,120例のうち穿孔を伴っていたのは20例であった.男女比は13:7,平均年齢は70歳(39~87).術前に胃癌穿孔と診断できたのは12例であった.切除率は90%(18例)であった.穿孔領域はL11例,M7例,U2例であった.切除例の癌の肉眼型は,Borrmann2型と3型が16例を占め,組織型は低分化腺癌11例,中分化腺癌4例,印環細胞癌3例で,高分化腺癌はなかった.短期成績は,19例は軽快退院したが手術死亡が1例みられた.長期成績では,治癒度A,B症例の5年生存率は36%,治療度Cは全例1年以内に死亡した.胃癌穿孔例の手術成績は不良であるが,治癒度A,Bでは長期生存の期待できる症例もあり,全身状態が許す限り根治的手術を施行するべきである.

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© 2009 日本臨床外科学会
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