日本臨床外科学会雑誌
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症例
耐糖能障害とともにCEA値が推移した胃癌術後腫瘍マーカー偽陽性の1例
大塚 隆生佐藤 清治北島 吉彦中房 祐司宮崎 耕治
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2009 年 70 巻 1 号 p. 62-65

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抄録

症例は58歳,男性.胃上部2型進行癌に対し胃全摘術,D2リンパ節郭清,脾・膵尾部合併切除術を行った.病理組織学的に低分化型腺癌で,深達度SS,2群リンパ節に転移を認め,T2,N2,H0,P0,CY0,M0,Stage IIIB,根治度Bであった.5年前より狭心症と糖尿病のため内服治療中であったがいずれもコントロール良好であった.術前の腫瘍マーカーCEA値は3.3ng/mLと正常範囲内であった.術後2カ月目よりCEA値の増加および空腹時血糖値の上昇を認めた.術後4カ月目にはCEA 12.0ng/mL,空腹時血糖232mg/dL,HbA1c 8.6となった.画像評価を行うも明らかな再発病変を同定できなかったため,無治療のまま厳重に経過観察をすることとした.同時に食事・内服療法による糖尿病の治療も開始した.以後血糖コントロールの安定とともに腫瘍マーカー値は漸減していった.術後4年3カ月の現在まで無再発生存中である.

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© 2009 日本臨床外科学会
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