日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
標準手技としての臍に切開を加える正中切開法
黄 泰平藤川 正博安政 啓吾田中 恒行広田 将司西田 幸弘
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キーワード: , 臍切開, 正中切開
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2009 年 70 巻 11 号 p. 3240-3244

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抄録

正中切開法は通常は臍をよけて切開されている.一方,欧米では臍に切開を加えても合併症に差はなく,むしろ美容上よいと報告されている.最近,臍を利用した腹腔鏡手術,豊胸術などの報告を認める.2007年2月より当科では腹腔鏡手術のみならず正中切開は臍に切開を加えてきた(臍切開法).手技の要点は,臍の最深部の直上および直下の白線に吸収糸をかけて臍がずれないように縫合閉腹する.臍の上,下の皮膚にはステープラーをかけるが,臍の皮膚は縫合しない.特有の合併症もなく,切開創が直線的であり,皮膚切開線が短縮でき,美容上よい.白線が狭い下腹部でも臍部から正中を容易に同定できる.結語:臍をよけて切るという慣習的な考えを捨て,臍切開法は一般的に行われるべき標準手技であると考える.

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© 2009 日本臨床外科学会
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