2009 年 70 巻 12 号 p. 3539-3542
呼吸不全を呈し,緊急手術を必要としたMorgagni孔ヘルニアとLarrey孔ヘルニアが併存した1例を経験したので,報告する.症例は79歳,女性.ネフローゼ症候群にて当院入院中,呼吸困難を認め,胸腹部CT施行.Morgagni孔とLarrey孔ヘルニア併存による縱隔偏位を認め,緊急開腹術を施行した.Morgagni孔に横行結腸が嵌入しており,Larrey孔には嵌入腸管を認めなかった.用手的整復後,それぞれのヘルニア嚢を切除しヘルニア門を直接縫合閉鎖した.術後呼吸困難は著明に改善.現在に至るまで再発を認めていない.