日本臨床外科学会雑誌
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症例
巨大な慢性腹壁瘢痕ヘルニアに新たに回腸が嵌頓絞扼した1例
大和田 進綿貫 文夫浜田 邦弘
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3589-3592

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抄録

40年以上の慢性的で非還納性となっていた巨大腹壁瘢痕ヘルニアに,新たに小腸が嵌頓,絞扼した1例を経験した.症例は68歳の女性で,pre-shock状態で来院した.虫垂切除術部の交差切開部に成人頭大の瘢痕ヘルニアを認めた.CT検査では大量の腸管が脱出し,小腸が絞扼され静脈性の循環障害を認めた.腸管切迫壊死と診断し,緊急手術を行った.右半結腸と大網がヘルニア嚢に癒着しており,その間膜は伸展され肥厚しており慢性的な非還納性ヘルニアに,新たに回腸が嵌頓,絞扼したものと診断した.腹腔内容量が還納すべき臓器の量に比べ小さく,大網の部分切除で減量をはかった.絞扼の解除までは10時間で,腸管の壊死はなかった.ヘルニア門は5cm大で,ヘルニアの修復にはComposix Kugel patchを用いた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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