日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌術後5年6カ月で再発したびまん浸潤型転移性直腸癌の1例
高橋 正貴黒澤 治樹舛井 秀宣福島 忠男茂垣 雅俊長堀 薫
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3616-3622

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抄録

症例は76歳,男性.平成13年9月に胃癌に対して胃全摘術,脾摘術,胆摘術を施行した.総合所見はtub2+sig,T3 N2 H0 P0 CY0 M0 StageIIIbであった.以降,再発なく経過観察とされていた.平成19年4月に便秘を主訴に当院受診.直腸に全周性の狭窄を認め,直腸腫瘍による腸閉塞と診断して腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織所見で直腸の粘膜面は異常なく,粘膜下層から全層にscirrhous patternを示す低分化腺癌の浸潤像を認め,先行した胃癌の転移と診断した.転移性大腸癌は大腸癌全体の0.1-1%と比較的稀であり,胃原発びまん浸潤型転移性直腸癌の国内報告例は23例にすぎない.転移経路としてはリンパ行性転移,播種性転移などが考えられるが本症例では播種性転移と考えた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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