日本臨床外科学会雑誌
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症例
自己免疫性肝炎に合併した非B非C型肝細胞癌の1切除例
石崎 守彦海堀 昌樹斎藤 隆道松井 康輔權 雅憲
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3628-3633

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抄録

症例は65歳,女性.平成元年に自己免疫性肝炎(autoimmune hepatitis;AIH)と診断をうけていた.平成18年1月の腹部CTで肝S8に3cm大の腫瘤を認めたため当院初診となった.HBs-Ag(-),HCV-Ab(-),抗核抗体>2,560倍,抗ss-DNA IgG抗体>400倍,抗ds-DNA IgG抗体>400倍と自己抗体高値でありAIHと診断された.腫瘍マーカー上昇(PIVKA-II 196mAU/ml)あり,画像からも肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;HCC)と診断し,肝部分切除術を行った.病理結果は中分化型肝細胞癌で,非腫瘍部の所見からAIHと診断された.AIHを背景としたHCCの発生機序は,肝硬変,ステロイド,ウィルス性肝炎等が想定されているが,本症例はいずれも合致しなかった.AIHにおいてもHCCの合併を念頭に置く必要があると考えられた.

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© 2009 日本臨床外科学会
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