日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に摘出した尿膜管遺残症の1例
堀池 正樹池辺 孝寺倉 政伸
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3684-3688

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抄録

患者は41歳,男性.1999年に臍周囲膿瘍にて近医を受診,尿膜管遺残を疑われたが抗菌薬点滴にて改善したためそのまま経過観察していた.2008年8月29日に再び臍周囲膿瘍を認め当院受診.瘻孔造影にて臍尾側に限局した小腔を認め,瘻孔造影後腹部CTにて臍尾側より膀胱側に腹壁に密着した索状構造物を確認し尿膜管遺残症と診断した.繰り返す臍炎を認め患者の強い希望もあり2008年10月16日腹腔鏡下にて尿膜管摘出術を施行した.術後経過は良好で手術翌日に軽快退院となった.術後病理組織学的検査にて膀胱側のみ円柱上皮で覆われた尿膜管組織を認め臍側では線維性組織のみから構成されていることがわかった.
腹腔鏡下尿膜管遺残摘出術施行例の報告は本邦では23例であった.適切な術野確保のためポート挿入位置を工夫した.さらに臍尿膜管移行部切除操作に工夫を加えることで尿膜管全体を安全かつ確実に摘出できたので文献的考察を加え報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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