日本臨床外科学会雑誌
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症例
PHSにて修復した上腰ヘルニアの1例
二宮 豪石榑 清山村 和生加藤 公一平井 敦黒田 博文
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キーワード: 上腰ヘルニア, 上腰三角, PHS
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3713-3717

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抄録

症例は83歳,男性.10年前からの左腰部の腫瘤を主訴に2008年11月当院外来を受診した.左腰部に立位で脱出し,腹臥位で消失する軟腫瘤を認めた.MRI検査で,後腹膜の脂肪組織が左腰部の筋欠損部より皮下に脱出する所見を認めた.腰ヘルニアの診断のもとに,2009年1月手術を施行した.手術所見では,第12肋骨,下後鋸筋,内腹斜筋,腰方形筋に囲まれた上腰三角部に径2cmのヘルニア門を認め,呼吸性に脱出を繰り返す脂肪組織が存在した.周囲組織が脆弱であったため,PHSを用いて修復した.腰ヘルニアは本邦では稀な疾患で,従来腹斜筋群と背側筋群を縫合するPetit手術が行われることが多かったが,近年はtension-freeの概念からMesh plug,PHS,Kugel patchなど人工物を用いた修復の報告例が増えてきている.今回PHSにて修復した左上腰ヘルニアの1例を経験したので報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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