日本臨床外科学会雑誌
症例
大腸癌術後に認めたTrousseau症候群の1例
濱崎 景子中崎 隆行清水 香里進藤 久和佐野 功谷口 英樹高原 耕
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70 巻 (2009) 2 号 p. 613-617

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抄録

悪性腫瘍に伴う血液凝固能亢進状態により脳卒中をきたす病態はTrousseau症候群として知られている.今回,われわれは大腸癌術後に多発脳梗塞をきたし,本症候群を疑った1例を経験したので報告する.
症例は86歳,女性.2007年4月,イレウスを発症し大腸内視鏡検査にて下行結腸に腫瘍による全周性の狭窄を認めた.腹部CTにて多発肝転移を指摘され,手術目的に当科転院となった.下行結腸切除術後3日目より左半身の完全麻痺,半側空間無視などを認め,頭部CT,MRIを施行.両側小脳半球,大脳半球皮質,皮質下白質に多発性脳梗塞を認めた.経過よりTrousseau症候群を疑い,ヘパリン1万単位の持続静注とエダラボン静注開始するも,症状の改善は見られなかった.その後,多発肝転移による肝不全の進行に伴い,術後39日目に死亡した.
Trousseau症候群の報告は散見される程度であり,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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