70 巻 (2009) 5 号 p. 1416-1419
症例は52歳,男性.健診目的で施行した下部消化管内視鏡検査で回腸末端に粘膜下腫瘍様病変を指摘され当院を紹介された.生検の結果カルチノイドと診断され,胸腹部CTで遠隔転移なく手術目的で入院となった.手術は回盲部切除術,リンパ節郭清を行った.切除標本では回腸末端,回盲弁より1cm口側に7mmの腫瘍を認め,病理組織検査では粘膜下層深層まで浸潤するカルチノイドと診断された.所属リンパ節に1個転移を認めた.
本邦では空腸・回腸カルチノイドは消化管カルチノイドの2.9%と稀である.小腸カルチノイドは,他の消化管カルチノイドと比べ転移率が高く,10mm未満の症例の21%にリンパ節転移を認めるとされており,腫瘍径にかかわらずリンパ節郭清を伴った系統的切除の必要性が指摘されているが,本症例はそれを支持するものであった.