70 巻 (2009) 8 号 p. 2397-2402
症例は61歳,男性.当院内科で心筋梗塞の治療後に外来通院中であったが,2007年2月頃より右側腹部痛と微熱を認めていた.内服加療も改善傾向を認めないため当科受診となった.右側腹部に成人手拳大の発赤を伴う腫瘤を触知し,腹部超音波検査および腹部CT検査では回盲部に腫瘤および腹壁腫瘍を認め,大腸癌の腹壁穿破による腹壁膿瘍が疑われた.抗生剤投与での保存的加療を先行させ,炎症反応軽快後に手術を施行した.開腹所見では腹壁腫瘍を形成した盲腸癌であり,腫瘍および膿瘍を一塊とした右半結腸切除および腹壁合併切除を行った.術後の経過は良好で術後第20病日に退院した.現在術後1年半経過しているが再発は認めていない.腹壁膿瘍を形成する大腸癌の報告は本邦では比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.