日本臨床外科学会雑誌
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症例
腕頭静脈腫瘍塞栓をきたした甲状腺乳頭癌の1例
大山 正人西原 政好島田 守権 五規李 喬遠岡 博史
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2010 年 71 巻 10 号 p. 2527-2531

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抄録

甲状腺乳頭癌はリンパ節転移をきたしやすい疾患であるが比較的予後良好であり,積極的な手術加療が必要である.今回われわれは腕頭静脈腫瘍塞栓をきたした甲状腺乳頭癌の1例を経験した.症例は74歳女性,頸部のしこりに気付き近医受診し,当院に紹介となった.core needle biopsyで甲状腺乳頭癌と診断された.術前の造影CTで左甲状腺腫瘍,頸部,上前縦隔リンパ節の著明な腫大,腕頭静脈腫瘍塞栓を認めた.血行動態や腫瘍塞栓の局在については,MD-CTによる3D画像が有用であった.手術は甲状腺全摘,頸部リンパ節郭清,胸骨切開を行った上で腕頭静脈切除,上前縦隔郭清を行った.術後は一過性に軽度の嗄声を認めたが良好に経過した.大血管への腫瘍塞栓をきたす甲状腺乳頭癌は比較的稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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