日本臨床外科学会雑誌
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症例
Lymphoid stromaを伴った食道原発非小細胞未分化癌の1例
河野 文彰関屋 亮内野 広文和田 俊介水野 隆之鬼塚 敏男
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2010 年 71 巻 10 号 p. 2576-2581

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抄録

症例は67歳,男性.検診で施行された上部消化管内視鏡検査で胸部中部食道に隆起性病変が指摘され当科に入院となった.内視鏡検査にて切歯より35cmの部位に立ち上がりの急峻な隆起性病変を認め,同部位からの生検にてgroup V,adenocarcinomaと診断された.中部食道腺癌の診断にて食道亜全摘術および2群リンパ節郭清が施行された.病理組織所見にて比較的均一な細胞が索状または敷石状に配列し,多くは大型の核と明瞭な核小体を有する腫瘍細胞が充実性発育を呈していた.また間質にはlymphoid stromaの形成も散見された.診断は食道未分化癌とされ,免疫染色にてchromograninA,NSEとも陰性であったため非小細胞型となった.食道原発未分化癌の中でも非小細胞型未分化癌は特にまれとされ,さらにlymphoid stromaを伴った症例であることも興味がもたれるところである.食道非小細胞型未分化癌の本邦報告例の臨床病理学的検討も加えて報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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