71 巻 (2010) 10 号 p. 2607-2610
Ball valve症候群をきたした1型進行胃癌の1例を経験した.症例は88歳,男性.平成21年8月,持続する食後の嘔吐を認め,精査加療目的に当院紹介となる.緊急上部内視鏡検査にて胃前庭部に十二指腸球部に嵌頓していた有茎性の5cm大の1型腫瘍を認めた.内視鏡操作にて嵌頓が解除できたが,昼食後,再度嘔吐を認め同日入院となった.内視鏡的粘膜下層剥離術を施行したが,腫瘍の茎部に強い筋層の牽引所見があり内視鏡的切除は断念した.準緊急にて幽門側胃切除術(D1+β),BillrothI法再建を施行した.切除標本では前庭部に45×50mmの有茎性の1型腫瘍を認めた.病理組織検査ではL,Post,type 1,50×45mm,tub2,pT2(MP),INFα,ly0,v0,pN0,pPM0,pDM0,pStageIBと診断された.術後経過は良好で術後23日目に退院となる.
Ball valve症候群をきたした進行胃癌はまれであり,文献的考察を加えて報告する.