日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝膿瘍を契機に発見された直腸癌の1例
今井 敦田口 宏一菊地 弘展本間 友樹湊 正意
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キーワード: 肝膿瘍, 大腸癌
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2010 年 71 巻 10 号 p. 2665-2671

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抄録

症例は79歳,男性.平成19年2月上旬より発熱があり,その後悪寒戦慄,意識状態の低下があり近医を受診.CRPの上昇を認め,腹部CTにて肝左葉に低吸収域を認めたため肝膿瘍の診断に入院.入院後抗生剤投与と膿瘍ドレナージにて軽快.肝膿瘍の原因検索として胆道系に異常を認めず,大腸内視鏡でRsに全周性の2型病変を認め,生検にて高分化型腺癌であった.3月に当科入院.CTにて肝膿瘍は消失しており他に肝腫瘍の所見は認めず.直腸癌の診断にて高位前方切除を施行.病理所見は高分化型腺癌,ss,ly1,v0,n0,stageIIであった.術後経過は良好で術後17日目に退院.現在術後3年経過するが直腸癌,肝膿瘍の再燃は認めていない.本症例の様に胆道系異常の認めない原因不明の肝膿瘍では大腸癌合併などを想定した消化管精査が必要と思われた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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