日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
消毒薬を使用しない術後創処置の有用性とその経済的効果
小泉 大金丸 理人森 和亮関口 忠司
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キーワード: 創処置, 消毒, コスト
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2010 年 71 巻 11 号 p. 2781-2784

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抄録

目的:消毒液を使用しない創処置方法の導入前後でのSurgical site infection(SSI)の発生と医療材料費について検討し,本処置法の有用性を検証した.方法:2007年4月から2009年3月に手術を施行した315例を対象とした.創の消毒をしていた前半1年(前期)と消毒をしない後半1年(後期)の2群に分け,両群を比較検討した.器械吻合,閉創の縫合方法と皮下洗浄は両群で同様に行った.結果:前期は148症例,後期は167症例.術後SSI発生症例は,全例消化器手術で認め,前期9例(6.1%),後期5例(3.0%)で,発生率に有意差は認めなかった(P=0.185)が,減少傾向を認めた.1例の平均医療材料費は,前期1,370円,後期447円へと67.5%減少した.まとめ:消毒薬を使用しない創処置でも術後SSIの発生は増加せず,消毒薬の使用はSSIの予防に寄与しないことが検証された.本方法は,消毒薬・ガーゼなどのコスト削減と消毒に要する業務軽減に有用である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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