日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
臨床経験
胆石胆嚢炎症例の腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるテープ牽引法の有用性
林 伸泰市原 隆夫菅 和臣岡 義雄左近 賢人
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 11 号 p. 2785-2790

詳細
抄録

目的:胆石胆嚢炎による炎症を伴った胆嚢に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)における術式の工夫について検討した.対象と方法:急性胆石胆嚢炎の待機手術を施行した69症例を対象とした.胆嚢頸部から胆嚢管付近をテープで緩く仮結紮し,胆嚢底部より頸部へ剥離し,テープを様々な方向へ牽引しながら胆嚢周囲とCalot三角を剥離し最後に胆嚢管を切離する方法(テープ牽引法LC)を施行した.術後,胆嚢の病理検索により胆嚢炎を軽度,中等度,高度に分類し炎症の各段階で手術成績を検討した.結果:手術時間,出血量とも炎症が高度になるにつれて増加する傾向にあった.開腹移行例が中等度,高度の炎症症例で各1例みられた.術後の合併症は高度炎症症例の2例で創部感染が見られたがその他重篤な合併症はなかった.結論:テープ牽引法LCは炎症を伴った胆石症例に対して安全にできることが示唆された.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top