日本臨床外科学会雑誌
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症例
繰り返す誤嚥性肺炎が契機で発見され慢性腸重積が先進部となった重複腸重積の1例
上野 達也高橋 道長菅野 明弘内藤 広郎
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2010 年 71 巻 11 号 p. 2864-2867

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抄録

誤嚥性肺炎で入院中,腸重積を発症し,緊急手術を施行したところ,先進部が慢性の腸重積であった1例を経験したので報告する.症例:75歳,男性.既往歴:10年前胃癌のため胃全摘術を受けた.最近1カ月以内に2度誤嚥性肺炎で入院.現病歴:呼吸苦,発熱,嘔吐があり当院を受診.誤嚥性肺炎の診断で呼吸器科入院となり,抗生剤で改善した.入院9日目より食事を再開したが,12日目より腹痛・嘔吐出現.CTで腸重積を認めたため当科紹介,緊急手術を施行した.術中所見で,空腸に腸重積を認め,これを解除.先進部に柔らかい腫瘤を触知し確認したところ別の腸重積を認めた.漿膜面の状態から慢性の腸重積と考えられた.呼吸器科入院時のCTを再度確認したところ,術中認めた先進部腫瘤の部位に腸重積を認めたため,慢性腸重積が先進部となった重複腸重積と考えられた.腸管の虚血はなく,腸管切除は施行しなかった.以後2年間,誤嚥性肺炎は認めていない.

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© 2010 日本臨床外科学会
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