2010 年 71 巻 11 号 p. 2907-2910
症例は56歳,男性.約1年前,左背部腫脹で当科入院し,腹壁膿瘍の診断で切開排膿を施行されていた.診察終了後も時折,切開部からの排膿を認めていたが放置していた.約1年後,切開痕からの多量の便汁様排膿を主訴に当院受診した.腹部CT検査,瘻孔造影,注腸造影などで下行結腸の憩室炎による結腸皮膚瘻の診断に至った.手術は,炎症所見が落ち着いてから一期的な下行結腸の腸切除吻合術を行い,皮膚瘻も合併切除した.術後経過は良好で,術後第23病日に軽快退院となった.腹部手術既往のない結腸憩室炎による結腸皮膚瘻は稀であるので考察を加えて報告する.