2010 年 71 巻 11 号 p. 2938-2942
症例は35歳,女性.2005年11月に当院産婦人科で子宮頸部非定型的カルチノイド多発肝転移に対して広汎子宮全摘,両側付属器切除を施行後,2006年4月に初回肝切除を施行後2007年10月まで計5回の肝切除を施行した.2008年2月に多発肝転移再発を認めたためサンドスタチン®の投与を行っていたが,同年10月に左大腿骨転移を認めたため,左大腿骨近位部人工骨頭置換術を施行した.以後リザーバーを用いた肝動注療法を開始し,2009年5月のMRIでは個数,腫瘍径の減少を認め,患者は原発巣切除後4年2カ月が経過した現在も外来通院中である.子宮頸部非定型的カルチノイド肝転移に対する肝切除例の報告はわれわれが検索しえた限り自験例が本邦初であり,若干の文献的考察を加えて報告する.