2010 年 71 巻 11 号 p. 2943-2947
症例は11歳,男児.突然上腹部痛と嘔吐が出現し,翌日になっても症状の改善がみられず,近医より当院小児科に紹介.来院時所見では右季肋部に圧痛を認めるも腹膜刺激症状なく,血液検査では軽度の炎症反応を認めるのみであった.腹部CTで胆嚢は腫大し内腔に不均一な高吸収域がみられたが壁肥厚はみられなかった.翌日の腹部造影CTの再検では,胆嚢内腔の高吸収域は拡大しており壁肥厚を伴っていた.造影MRIでは粘膜の造影効果なく,頸部での腫瘤様陰影はねじれを描出していたことから胆嚢捻転症との診断に至り,緊急開腹手術を施行した.胆嚢は黒色調に腫大し,反時計方向に360度回転していた.胆嚢摘出術を行い,第5病日に退院となった.小児発症の胆嚢捻転症はまれな疾患であり,一般的に術前診断は困難である.術前検査所見などに関する文献的考察を加え報告する.