日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性胆嚢平滑筋肉腫の1例
和田 博雄塩澤 学森永 聡一郎赤池 信亀田 陽一益田 宗孝
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2010 年 71 巻 11 号 p. 2954-2959

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抄録

症例は37歳,男性.健診の腹部超音波検査で胆嚢腫瘤を指摘され,当院へ紹介された.術前検査では,USで胆嚢底部に大きさ約4cmの腫瘤を認め,造影CTで,同部に造影効果をともなう有茎性の腫瘤を認めた.周囲への浸潤や転移は認めず,胆嚢腫瘍の診断で胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には,腫瘍は非上皮性細胞が主体で,小型の暗い核をもつ細胞と比較的明るい大型核を持つ紡錘細胞に識別できた.免疫染色で,前者はCD31とCD34が陽性,後者はデスミン陰性だがSMAが強く広範囲に陽性で,平滑筋への分化を示しており,MIB1 indexが10%以上であるため,胆嚢平滑筋肉腫と診断した.術後24カ月の現在,無再発生存中である.胆嚢平滑筋肉腫は稀な疾患であり,無症状で健診により発見された症例の報告はない.若干の文献的考察と本邦報告34例の集計を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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