日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃壁浸潤による穿孔で発症した大網原発漿液性乳頭状腺癌の1例
岸本 一郎河本 健竹本 安宏木庭 雄至大村 孝志佐藤 光史桑尾 定仁原澤 有美
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2010 年 71 巻 11 号 p. 2980-2985

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抄録

症例は65歳,女性.2009年7月5日急性腹症にて当院救急外来受診.胃潰瘍穿孔,汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術施行.開腹所見で胃前庭部小彎側の胃穿孔を認め,広範胃切除術を実施.また大網,小網,結腸間膜に多発する腫瘍を認めた.一部は横行結腸に浸潤しており,根治切除は不可能と判断し,大網の腫瘍を可及的に切除した.病理組織診断の結果は大網原発漿液性乳頭状腺癌であった.胃潰瘍穿孔部分の組織所見では漿膜面から潰瘍底に向かい腫瘍細胞の進展を認め,漿液性乳頭状腺癌の胃壁浸潤による胃穿孔と診断された.大網原発漿液性乳頭状腺癌は本邦に於いて90例弱の症例が報告されているが,消化管穿孔による腹膜炎を初発症状とする報告は初めてである.

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© 2010 日本臨床外科学会
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