2010 年 71 巻 12 号 p. 3084-3087
症例は50歳,男性.検診にて初めて胸部レントゲン上異常陰影を指摘され,精査加療目的に当科受診.既往歴に特記すべきことなし.胸部CT検査上,右S10に径3cm大の腫瘤陰影を認めた.腫瘍マーカーはCYFRA21-1,CEA,CA19-9,SCC,NSE,Pro-GRPいずれも正常範囲内.喀痰細胞診は陰性.気管支洗浄液における好酸菌培養は陰性.TBLBではsuspect of epithelioid granulomas,悪性所見なし,であった.FDG-PETにて先のCTで認める右肺S10の腫瘤影に一致して,RIの集積の増強を認め,同部のSUVmax=3.753と高値を示しており,悪性を示唆する所見であった.このため肺癌を疑い,胸腔鏡下右下葉部分切除術を施行.術中迅速病理診にて器質化肺炎と診断し,下葉切除術は行わず手術を終了した.