日本臨床外科学会雑誌
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症例
完全閉塞で切除した食道Barrett潰瘍の1例
藤田 正一郎和田 亜美渡辺 康則中口 和則塚原 康生甲 利幸
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2010 年 71 巻 12 号 p. 3093-3097

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抄録

Barrett潰瘍は,食道腺癌の前癌病変として知られるBarrett食道の24%にみられるとされている.今回われわれは逆流性食道炎経過中に完全閉塞をきたし切除したBarrett潰瘍の1例を経験したので報告する.症例は82歳,女性.主訴は食思不振と嘔吐.平成20年10月頃より嘔吐を繰り返すため11月当院を受診した.上部消化管造影で下部食道に閉塞性病変を認め,造影剤の肛門側への流出は全く認めなかった.上部消化管内視鏡検査にて門歯列より30cmに全周性のびらん・狭窄を認めた.胸部CTでは下部食道に全周性の壁肥厚を認め,MRI拡散強調像では高信号を示さなかった.閉塞部はガイドワイヤーが通過せず,拡張術やステント留置が困難であり,悪性疾患の否定ができないため,右開胸開腹胸部食道切除術を施行した.病理組織像では狭窄部に一致して潰瘍形成が認められ,粘膜表面は炎症細胞浸潤を伴う肉芽層に覆われていた.また閉塞部位の肛門側粘膜表面はspecialized columnar epitheliumに覆われていた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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