日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
肝転移巣が腺扁平上皮癌の像を呈した胆嚢腺癌の1例
猪狩 公宏藍原 有弘落合 高徳熊谷 洋一山崎 繁
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 4 号 p. 1017-1021

詳細
抄録

症例は61歳,男性.皮疹を主訴に近医を受診した際に肝機能異常および超音波検査にて肝内胆管の拡張を認め,当院を紹介受診した.腹部MRI検査で中部胆管の狭窄像を認め胆管癌が疑われ手術施行となった.術中所見では胆嚢を硬く触知し,この硬結は中部胆管に浸潤するようにして存在したことから,原発巣は胆嚢癌でこれが中部胆管に浸潤したと考え,胆嚢摘出術,肝外胆管切除術および肝S4a+5切除術を施行した.切除標本の組織学的所見より,原発巣である胆嚢は腺癌の像を呈したが,合併切除した肝内に認めた転移巣は腺扁平上皮癌の像を呈していた.胆嚢腺扁平上皮癌および扁平上皮癌は腺癌の扁平上皮化生より生じると考えられており,その説を裏づける上で興味ある症例として本症例を報告した.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top