日本臨床外科学会雑誌
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症例
経過観察中に緊急手術となったCA19-9産生巨大脾嚢胞破裂の1例
橋本 敏章中島 弘治森内 博紀円城寺 昭人大谷 博下川 功古井 純一郎
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2010 年 71 巻 4 号 p. 1043-1046

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抄録

CA19-9産生脾嚢胞で極めて稀な破裂症例を経験したので報告する.症例は15歳の男性.2004年12月より脾嚢胞の診断で経過観察されていた.2008年9月,腹部打撲直後より腹痛出現し緊急入院した.入院時血中CA19-9は1,044U/mlと上昇していた.腹部CTで,虚脱した脾嚢胞と多量の腹水が認められ,脾嚢胞破裂の診断で緊急手術を行った.手術は開腹下に脾嚢胞天蓋切除・嚢胞底焼灼術を行った.腹水および嚢胞内容液は茶褐色でCA19-9は419×104U/mlと異常高値を示したが,細胞診は陰性であった.組織学的にはCA19-9免疫染色で強陽性に染色された扁平様上皮に覆われた良性の真性嚢胞と診断された.手術後,血中CA19-9は基準値内に復した.術後再発は認めていないが,長期成績の報告は少ないため今後も経過観察が必要と考えられた.

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