日本臨床外科学会雑誌
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症例
mFOLFOX6を含む集学的治療により長期間CR継続中である虫垂癌原発腹膜偽粘液腫の1例
大谷 泰介瀧井 康公
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2010 年 71 巻 4 号 p. 1061-1065

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抄録

症例は75歳,男性.前立腺癌の経過観察中の腹部CT検査で虫垂嚢胞性腫瘍および腹水を指摘された.2006年11月に虫垂切除術および粘液性腹水の可及的摘出術を行った.術中腹水細胞診ではCy1(cystadenocarcinoma)が検出され,病理組織診で虫垂粘液嚢胞腺癌穿孔性の腹膜偽粘液腫と診断された.術後よりmodified FOLFOX6(以下,mFOLFOX6)療法を開始し,5クール終了後の腹部CT検査で腹水の減少を認めたが,術後6カ月経過した10クール終了後にGrade3の末梢神経障害が出現したために休薬となった.しかしながら術後1年,休薬より6カ月後の腹部CT検査で腹水は完全に消失し,再発所見も認められないことからCRと診断した.術後3年以上経過した現在でも再発の徴候を認めていない.

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© 2010 日本臨床外科学会
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