日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸石嵌頓による十二指腸憩室穿孔の1例
上田 祐華近藤 成服部 晋司矢野 雷太
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2010 年 71 巻 4 号 p. 932-936

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抄録

症例は86歳,女性.右下腹部痛を主訴に急性虫垂炎の診断で他院より紹介され受診した.腹部CTにて十二指腸憩室穿孔と診断し,同日緊急手術を施行した.手術所見において,十二指腸下行部後壁の憩室内に嵌頓した結石および憩室穿孔を認めた.憩室を縫合閉鎖し,大網被覆術,Cチューブを留置した.十二指腸憩室は消化管憩室の中では大腸に次いで多く,比較的頻度の高い疾患ではあるものの無症状であるため治療の必要性は低い.合併症としてLemmel症候群,憩室炎,出血,穿孔などが報告されており,中でも穿孔を契機として発見された症例は外科的治療を必要とすることが多い.十二指腸憩室内結石(以下腸石とする)が誘因となった十二指腸憩室穿孔の本邦報告例は9例で,その全症例において外科的治療を施行されている.今回われわれは腸石による十二指腸憩室穿孔の1手術症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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