2010 年 71 巻 5 号 p. 1190-1194
症例1は46歳,男性で下腹部痛を主訴に当院救急外来へ搬送された.来院時右下腹に圧痛と腹部全体の筋性防御を認めた.腹部造影CTでMeckel憩室穿孔による汎発性腹膜炎と診断され緊急手術を施行した.手術は憩室を含む回腸部分切除および小腸端々吻合を行った.症例2は50歳,男性で腹痛・嘔気を主訴に当院消化器内科を受診し,細菌性腸炎の診断で内服処方され帰宅したが,腹痛が増悪し再診された.再来時右下腹部に圧痛と反跳痛を認めた.腹部造影CTでMeckel憩室炎と診断され緊急手術を施行した.手術は腹腔鏡下で腫大したMeckel憩室を体外へ誘導し,憩室基部を全層に楔状切除し層々に吻合した.憩室基部に果物の種子と思われる異物の嵌頓とその末梢側の粘膜壊死を認めた.近年の画像診断の進歩に伴い,以前は描出困難であった病変の描出が可能となってきている.急性腹症の診断の際,Meckel憩室も鑑別にあげた腹部CTの慎重な読影が肝要であると考えられた.